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2013-12-05

新しいSILKYPIX Pro6


 
こんにちはエンドーです。おかげさまで蒸機強化月間(?)はひと段落しました。
『だんだん寒くなったな~』なんてのんびりしていたら、指の先から「バチン」と・・・うかつでした。
これからの季節は静電気に気を付けて撮影に行きましょう。
 


さて、紅葉盛りを向かえていたころに話は戻ります。
約2週間ほど前になりますが、SILKYPIXに最新版の「6(β版)」が登場しました!
皆さんには 『何を今さら~』 といわれそうですが、デジタル写真において、カメラは【身体】・ソフトウェアは【頭脳】です。いくらカメラ(撮影ワーク)のみで作品を仕上げようとしても、出来ることには限界があります。画像処理は撮影同様に、作品をづくりでは大きなウェイトを占めます。とくにRAW現像はJPEGやTIFFの画質を向上させることが容易なので、しっかりと取り組むと良い結果につながります。大切な作業です。



さっそく新しい「6」を試してみましょう!
詳しい機能説明はスペシャルサイトにおまかせするとして、こちらでは新機能にはどのような効果があるのか動かしてみます。まず最初に登場するのは秩父を走るC58です。
 
 
 
これは持論なのですが、蒸機に一番似合う光線は冬の斜光線だと考えています。
なぜならば、機関車のディティールが浮かび上がり、煙も透過光によって存在感が引き立つからです。その対比がキリッとしたイメージにつながるのですが、両者には著しい明るさの差があります。いままでの作品づくりでは、残念にもどちらか一方を犠牲にしてました。ですが、この写真ではどちらも良好に表現されています。ここが「HDRを進化させた」DP6の優れた機能なのです!
 

 
 
 
ご存知のとおり【HDR】はハイダイナミックレンジ。つまりハイライト&シャドーを同時に操作しデータを「人間の眼で見た」感覚に近づけていました。ですが、デジタルにおいて"シャドーを持ち上げる"というのはある意味で"禁じ手"なのです。


いまでこそ『この写真はデジタル臭い色だね~』なんていう人も少なくなっていますが、その要因のひとつがダイナミックレンジの広さ。つまり黒が締まらないことに在りました。その点では機関車は<黒>ですから【HDR】は敬遠していました。ですが、今回からは拡張機能として【ハイライト側】【シャドー側】を優先的に選べる仕様となりました。





左は [HDR-焼き込みのみ]を掛け、右は元データそのまま。
少しメーターをいじっただけで、失われた階調性がまるまる戻ってきました。
とても便利な機能です。DP5に比べより直感的にコントロールができ、画像の追い込みも苦労せずに済みました。個人的にはこの機能が一番使う場面が多くなりそう。




もう、蒸気機関車を撮影する人にとってはこれ以上ないくらい親切な機能です。
カメラ内の処理だけでは得られない効果が簡単に手に入るわけです。
このメーターだけでも充分に満足なのですが、DP6には他にも進化したポイントがあります!!
新機能の次は"正統進化"であるノイズリダクションをみてみましょう。
いまやRAW現像ソフトには当然の機能ですが、新バージョンではさらに磨きがかかっています。






以前にもご紹介したこの写真。トンネルを飛び出すポイントで狙い、新幹線の顔が愛嬌のある生き物のように撮影したものです。前回は焦点距離の話のみでしたが、まだまだウラ撮影テクニックがあるのです。




まずはピントについてです。個人的に普段の動体撮影の場合はAFを多用しますが、この写真では置きピンで撮影をしています。それはトンネルを飛び出す瞬間はあまりにも短く、充分な合焦精度が出しにくいと判断したからです。では、さっそく置きピンを、と思いファインダーを覗いたものの・・・・ピントを合わせる目印が全くありません。困りました。
ですが、少し考えてみるとその解決法は簡単に見つかりました。それは構図の内以外の場所に目印を見つけ出すことです。つまりは「トンネルをでる瞬間」を狙うのですから、あらかじめ構図の外にある出口付近の壁にピントを合わせることで問題は解決です。これは写真に限らずなのですが、思い込みとはとても厄介なものです。気を付けないと凡ミスを引き起こします。



次にポイントとなるのがシャッター速度です。この場面では前面をハッキリ写すこと重要なので1/6400秒を選びました。焦点距離は換算720mm相当です。鉄道写真では特に勘違いされている方が多いのですが、『焦点距離が長ければ長い(望遠)ほどスローシャッターでもよい』・・・というのは半分ホントでウソです。しっかりとその説明をしている書籍や人がほぼ皆無なため、誤解を生む場面が多いのです。
望遠レンズでスローシャッターが使える前提として、画面の中で列車(動体)の一定時間内における移動距離が短い・あるいは角速度が無視できる程度の場合に限りという文言が抜けているのです。解説のために角速度や一定時間内における移動距離うんぬん・・・と言い出すとキリがないので今回は省略しますが、焦点距離とは関係なく、列車を大きく写すときには高速シャッターでブレが減る。と考えておけばOKです。





話がだいぶ逸れてしまいましたが、ここからが本題です。
同じ写真を同じ設定で処理し、ノイズリダクションの比較をDP5とDP6で検証してみました。



上の切り出し画像は従来のDP5、下が新しいDP6です。黒や白といった無彩色上ではノイズが目立ちやすく明らかに両者には結構な差がでました。前のバージョンではノイズが取りきれていない部分がありますが、新しいバージョンではノイズを除去した上で線や輪郭がちゃんと表現されています。

ここだけの話ですがWEBの性質上、本当のノイズ検証は出来ていないのでご注意ください。なぜならば、この画像はJPEGに変換をしないとアップロードが出来ないためです。JPEG変換時に生じたブロックノイズが画像に上乗せされています。TIFFデータをそのまま貼りつけたい場面ですが、今回は両者比較でご覧ください。

、、、という訳なので、実際にそれほどの効果があるのか。それを知りたい方は実際にDP6をダウンロードして使ってみてください。2013.12.20までβ版は無料試用できるようです。





さぁ名残惜しくも最後は個人的お気に入り機能のファインカラーコントローラーのご紹介です。
といってもこのメーターは以前のバージョンにも搭載しているので、特に目新しさはありませんが・・・紅葉の写真を仕上げたいときは最良のメーターです。





僕自身、鉄道写真を愉しんでいる方々の写真を拝見する機会が多くあります。
構図はしっかりとしたものが多く、列車もキッチリ写っているのでこちらも楽しくなるのですが、ひとつだけ違和感を覚える処理方法をしているところがあります。それは彩度です。
気持ちはよく理解出来ます。彩度を高めるほど、どんどん存在感が増してゆきます。パッと見の印象は良くなるかもしれません。でも、よくよく写真を見てみるとグラデーションはガタガタ。画質はボロボロ・・・というものも多いです。惜しいと思う作品は数えきれません。
 
 
彩度を具体的にどう扱うのか、を教えることは難しいです。個人個人で感覚は違いますから。
そうですね、画像処理そのものを料理に置き換えて考えると意外にも理解しやすいかもしれません。

 
《RAWデータは材料》 《明度・ホワイトバランス・コントラストは調理》 《彩度・シャープネスは隠し味》 とすればイメージが湧いてくるでしょうか?
もちろん同じ料理を作るにしても人によって味が異なります。たとえばカレーなんてどうでしょう。一流シェフから家庭の味まで様々なものがあります。どの味も個性に富んでいて美味しいです。
ですが、丹精込めてつくった料理も台無しになる瞬間があります。それは《隠し味》を入れすぎたとき。いくら隠し味だからといって、最後に醤油やソース、はたまたチョコレートをドボドボと入れすぎると、本来の良い味が吹き飛んでしまいます。もちろん少量であれば良い結果につながりますが、《隠し味》の入れすぎにはご注意を。



 
何となく彩度とはどういうものなのか、イメージを掴んでもらえましたか?
この感覚で彩度と向き合うことができれば、もうマスターしたも同然です。存分に自分のレシピを追究してください。いい作品が仕上がります。 

 
ファインカラーコントローラーの話に戻りますが、使い方は簡単です。
 
まずは一番下にある「絵の具のマーク」をクリックし、メーターを表示させます。
次に処理している画像の持ち上げたい色にカーソルを持ってゆきます。すると色彩円の中に小さな〇が表示されるので、その場所を選択します。これで選択は完了です。あとは特定の色に対してのみ彩度や明るさを変更させることが出来ます。とても簡単です。
 
 
紅葉の写真であれば、色付いた葉っぱにカーソルをあて、表示された〇の範囲をクリックするだけで、その色のみをコントロールできます。
ここでひとつだけアドバイスです。「色相」「彩度」「明るさ」と3つの要素が選べますが、最初は「明るさ」のみを操作してください。やりすぎは良くありませんが、すこし明るくするだけで印象はガラっと変わるはずです。ぜひお試しを!
 



 
 
そうでした。他にもパワーアップしたことがあります。
今回のソフトウェアから画像の処理速度がはやくなりました。嬉しいですね~
ここ3日間で現像したもの、その一部をごらんください!
 







 
 
 



 

 
撮影日数でいえば、10日分の量をサクサクとこなしてしまいました。また撮影に行かないといけませんね。 ソフトウェアの進化は頭脳の進化ですから、とても作品づくりが楽しいです。
みなさんもこの楽しみを存分に味わってくださいね!
 
 


 
今日はここまで!
それではまた次回~

We love photograph!








                    えんまさ

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